三島由紀夫 潮騒の聞こえる場所

更新日:2022年03月31日

潮騒で描かれている神島、観的哨、八代神社、カルスト地形の写真の拡大画像

三島由紀夫があの名作「潮騒」を描いてから、すでに40年以上が過ぎ去った。この間、有名俳優らによる何度かの映画化によって、物語に描かれた鳥羽のすがたは、あまりにも有名となって、人々の胸に強い感動を焼き付けた

映画の舞台となった神島では、吉永小百合や山口百恵など映画の主役を務めた女優らが滞在した時の話を、島の人たちから聞く事ができる。

漁師の青年・新治と、若い海女である初江の淡い恋ごころを描いたこの小説は、初めて世間に発表された昭和29年当時、爆発的なベストセラーとなった。

「潮騒」と名付けられたこの物語の題名は、恐らく三島由紀夫が、鳥羽に滞在した折に何度も耳にした、あの優しい地球の鼓動のようなリズムだったのだろう。

二人の若者は、静かで美しく、しかし心を熱く焦がすような、愛の中に落ちていく。新治が駆け登ったという神社に続くあの長い階段も、二人が炎を飛び越して抱擁を交わしたあの廃墟も、ただ日常の風景の中に今も現存している。

あれは、本当に物語だったのか。ここを訪れる者は、まるで確かな自分の記憶の一コマをかいま見るように、その風景を眺めることになる。

三島由紀夫が何を見たのか。それはきっと遥かな昔から脈々と生き続ける、ここに暮らす人たちの日常であったに違いない。

波は今日も絶え間なく繰り返す。まるで人の心を洗うかのように。三島由紀夫がかつて聞いた潮騒は、今も寄せては返す。

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