鳥羽市海のレッドデータブックについて
レッドデータブック(Red Date Book:RDB)とは、絶滅のおそれのある 野生生物に関する種名、生態、分布、現状、減少要因等の情報を 記載した図書です。1966年に主にIUCN(国際自然保護連合)が作成したものに始まり、現在は各国や団体等によって多数作成されています。
鳥羽市では、海の現状を把握し、未来に向けた基礎資料として活用することを目的として、鳥羽市内の絶滅のおそれのある海の野生生物を紹介した「鳥羽市海のレッドデータブック2023~鳥羽市の絶滅のおそれのある野生生物~」を作成しました。
鳥羽市海のレッドデータブック 概要
●サイズ・ページ数 A4判、298ページ
●色数 オールカラー、プロセス4色印刷
●出版・発行 鳥羽市役所観光商工課(令和5年8月)
●価格 7,700円(税込)
●販売場所 鳥羽市立海の博物館(館内・オンラインショップ) 、三重県総合博物館(MieMu)、Amazon など
購入方法等についてはこちらのページをご覧ください。
冊子構成
1.市長挨拶
2.鳥羽市海のレッドデータブック制作にあたって
3.総論
4.各論(脊椎動物、魚類、貝類、甲殻類、その他無脊椎動物、海藻・海草類)
5.Q&A
6.あとがき
7.分類群別リスト
8.索引
対象生物種
鳥羽市沿岸や流入河川およびその周辺の集水域となる一部の内陸において、海辺に生息する合計419種を調査・評価対象としました。なお、藻場や沖合に生息する種などについても評価、掲載しています。
・脊椎動物18種(海棲哺乳類、鳥類、爬虫類)
・魚類30種
・甲殻類34種
・貝類295種
・その他の無脊椎動物群21種
・海藻海草類21種
調査海域
・鳥羽市の神島、答志島、菅島、坂手島の4離島
・鳥羽市北部(伊勢湾内・鳥羽市北端~加布良古岬)
・鳥羽市中部(加布良古岬~石鏡灯台)
・鳥羽市南部(石鏡灯台~鳥羽市南端)
主な調査方法
1.下記による現地調査
・船上からの目視
・スクーバ潜水やスキンダイビングを用いた目視及び採集
・船上からのドレッジ
・海辺からの枠型軽量ドレッジ
・タモ網
・投網
・砕波帯ネット
・漁業(刺網や汽船海底曳網等) 混合物採集
2.過去の報告や標本に基づく資料調査
冊子の特徴
特徴1. 13人の執筆者
「鳥羽市海のレッドデータブック」の作成にあたり、13名の研究者を中心に調査、執筆いただきました。
鳥羽市を含む伊勢志摩国立公園に指定されている伊勢志摩地域周辺には、様々な研究・教育機関が点在し、それぞれが先進的な研究を行っています。海の生物に関する研究者も多く活躍されていたことが、今回の「鳥羽市海のレッドデータブック」の制作には必要不可欠でした。
鳥羽で誇るべきは、豊かな自然環境だけではなく、調査、執筆にお力添えをいただいた専門家の皆様、情報提供いただいた地域の皆様といった「人財」だと言えます。
特徴2. 誰もが見やすい紙面づくり
レッドデータブックは一般的に専門書として扱われ、研究者等が使用するイメージがあります。本冊子は水産振興や観光振興、教育面での活用を想定していることから、誰もが見やすい、理解しやすい紙面づくりにこだわりました。
調査結果を生態、カラー写真付きで紹介しています(クロダカワニナを除く)。
また、一般的には普段見ることが難しい海中の様子を景観写真で伝えています。景観写真を通じて、海の豊かさや多様性とともに資源保護へ理解が促進されるきっかけになればと考えた構成となっています。
各分類ごとに執筆者による調査をふまえた感想や鳥羽の海の印象を伝えるコラムの掲載、Q&Aによってわかりやすく「鳥羽市海のレッドデータブック」の意味や基本的な考えについて紹介しています。
誰もが見ることができる環境づくり
「鳥羽市海のレッドデータブック」を多くの方々にご覧いただくことや活用を図るため、鳥羽市立図書館や三重県立図書館で閲覧や貸出が可能となっています。
また、市内小学校、中学校、高校などの各所に配置しており、未来を担う子供たちの海洋教育の教材として活用できることを期待しています。
鳥羽市海のレッドデータブック 制作の経緯
鳥羽市は三方を海に、一方を険しい山に囲まれた土地と神島や答志島、菅島、坂手島に代表される様々な離島からなる地域で、市街地や集落と海との距離が非常に近いことが特徴です。また、俯瞰的に見ると、伊勢湾や三河湾といった内海と熊野灘、遠州灘といった外洋が交じり合うところに鳥羽の海があると言えます。鳥羽は海と密接に関わり、海と共に生き、発展してきました。鳥羽の豊かさの象徴や海の豊かさあってのことであると考えます。
しかし近年、鳥羽の海の環境が変化していると実感しています。藻場が減少傾向にあることやそれに伴い海女の獲物となるアワビなどの資源の減少が心配されています。環境の変化は鳥羽市だけのことではありませんが、その実態を把握していかなければならないと考えています。そこで、鳥羽市では、専門家の皆様にご協力をいただき、令和2年度から海の生物のモニタリング調査を実施しました。そして、これまでに得られた調査結果を多くの方々に共有したいと考え、「鳥羽市海のレッドデータブック2023~鳥羽市の絶滅のおそれのある野生生物~」を発刊いたしました。
この「鳥羽市海のレッドデータブック」は、今後変わりゆく自然環境を知る上で貴重な資料になると考えています。「鳥羽市海のレッドデータブック」を通じて、鳥羽の海の現時点の状況を把握することをきっかけとして、海洋生物の保全の役割を果たすとともに、水産振興、また、観光分野におけるエコツーリズムや教育現場など、幅広い分野で活用されることを期待しています。
みんなで海の環境のことについて知り、学び、行動することで、豊かな海を後世に残していきたいと考えています。
鳥羽市海のレッドデータブックを通じて伝えたいこと
「鳥羽市海のレッドデータブック」は単に不安を煽るものや掲載種の水産物の漁獲をセーブすることを訴えるものではありません。
今後変わりゆく自然環境と共存していく上で、鳥羽市の海の現状を把握し、未来へ向けた貴重な基礎資料として活用していくことを目的 としています。
「鳥羽市海のレッドデータブック」を通じて、海洋生物の保全の役割を果たすとともに、水産振興、また、観光分野におけるエコツーリズムや教育現場など、幅広い分野で活用されることを期待しています。
鳥羽市海のレッドデータブックの活用
この記事に関するお問い合わせ先
観光商工課 観光係
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電話番号:0599-25-1157
ファックス:0599-25-1159
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更新日:2024年08月31日