令和2年度 施政方針

更新日:2022年03月31日

令和2年2月28日 鳥羽市議会会議において

はじめに(新型コロナウイルスについて)

 冒頭に、現在流行しております新型コロナウイルスにつきまして、この場をお借りしまして、本市の対策をお伝えさせていただきます。

 現在の国内の感染の状況は、複数の地域で、感染経路が明らかでない患者が散発的に発生している状況でございます。

 まず1点目といたしまして、このような状況を鑑みまして、国は感染の流行を早期に終息させるため、2月25日に「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を決定しました。この方針に従い、本市におきましても同日に連絡会議を開催し、医療等の体制を整えるほか、感染しやすい状況をつくらないよう各課に指示をしたうえで、対策本部を設置いたしました。

 各課への具体的な指示といたしましては、感染経路が飛沫感染と接触感染でありますことから、屋内において不特定多数の方が長時間に渡り同じ場所に集まる状況を避ける必要がございます。

 このため、3月21日までに行われるイベントのうち、誰もが参加できる屋内イベント等は、中止するよう指示をいたしました。 そして2点目といたしましてはまだ途中経過の報告となりますが、昨日、安倍首相から発表がありました学校のことでございます。

 現状といたしましては、三重県教育委員会と情報共有しながら、対応を現在も検討中でございます。昨日の発表後及び本日の朝から対策案を協議いたしまして、一定の方向性は固めたところでございますが、三重県教育委員会の方向性を最終確認しまして、本日中に保護者の皆様にお知らせさせていただく予定でございます。

 これらの対策は、今後も感染症の広がりを見ながら適宜見直し、順次お知らせしてまいりますので、市民の皆様におかれましては手洗いや咳エチケットの徹底、風邪症状がある場合の外出を控えていただくなど、いまご自身でできることから取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。 それでは、令和2年度当初予算を含めました諸議案の説明に先立ち、市政運営に関する私の基本的な考えをご説明申し上げます。

一張一弛

 今年度は30年間続いた平成から令和の時代に移り、新たな時代の幕開けとなりました。

 来る令和2年度は、国家レベルの大事業といたしまして夏に東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。本市でも4月に聖火ランナーが走りますことや、本大会におきましてフェンシング競技で鳥羽市初のオリンピック選手が選考されるのではないかと大変期待しているところでございます。 さて、令和2年度は市民の皆様から負託された私の任期も残り1年となります。これまで蒔いてきた種を開花させるとともに、オリンピックの聖火ランナー同様ここまで受け継いできたことを大切に、そして一歩一歩着実に市政運営に邁進してまいります。

 そこで、私の任期集大成となる令和2年度当初予算につきましては、『一張一弛(いっちょういっし)予算』と命名いたしました。

 一張一弛とは、弓の弦を強く張ったり緩めたりすることです。転じて、程良い程度に引き締めたり、緩めたりする意味でございます。 議員各位には昨年の全員協議会におきまして、当初予算編成方針や財政健全化の集中取組をご説明させていただきましたが、市の財政、とりわけ財政調整基金の現在高は極めて切迫している状況でございます。この状況を脱却するため、今年度は私を筆頭に幹部職員による財政健全化会議を3回行い、2040年の人口減少と少子高齢社会に耐えうる財政健全化を目指すことを確認いたしました。

 その結果を踏まえ秋には当初予算編成方針を決定し、各課に対し具体的な予算要求の検討に入る様に指示いたしました。その後の予算査定におきましても、事業担当者や財務担当者も交えてどの事業を精査しどの事業に配分すべきか、締めるべき財政健全化と緩めるべき財政出動の均衡を図ることについて熱く厳しい議論を重ねてまいりました。特に財政健全化の取り組みにつきましては、市民や団体への影響を最小限に留めることを念頭に査定を進めましたが、幾つかご心配やご要望の声を頂戴しましたことは承知しております。しかしながら、財政危機を回避すべく現状で何とか踏みとどまることにより、子や孫の世代に負担をかけないことに加え、観光都市としてのブランドイメージを毀損させないことも市の責務と考えますので、議員並びに市民団体の皆様には何卒ご理解ご協力を賜ります様よろしくお願い申し上げます。 一方、昨年9月からふるさと納税寄附金の返礼品として真珠製品が復活しましたことにより、去る1月補正予算におきましてふるさと創生基金積立の増額をお認めいただきました。令和2年度におきましても今年度当初予算額より増額して計上しております。このような本市にとって明るい話題を来年度も増やしていけます様、ゼロ予算で出来ることも含めまして積極的に情報発信してまいります。

令和2年度当初予算編成の考え方

 それでは、令和2年度当初予算についてご説明申し上げます。

 令和2年度当初予算の編成に当たりましては、第五次鳥羽市総合計画に示す”真珠のようにきらり輝く鳥羽”を目指してまちづくりを進めているなか、令和2年度は後期基本計画の最終年度にあたりますことから、総合計画で目指すまちづくり指標の達成に向け着実に推進してまいります。また、現在「鳥羽市第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定中であり、令和2年度から新たな5か年戦略として取り組む予定でありますことから、整合性に留意しながら新年度予算を調製したところでございます。

 また、年頭の職員訓示におきまして、市民がいきいきと活躍できる地域共生社会の実現と海洋資源を活かした産業振興を進めることを話しました。それらを実現するにあたり、これからご説明いたします当初予算編成基本方針における五点の重点施策は、オリンピックのシンボルマークである五輪の如く重要な位置づけとして予算配分いたしました。

 それでは、予算編成基本方針に掲げました重点施策における新規拡充施策を中心にご説明いたします。 一点目は、2040年の人口減少問題に対応すべく、特に生産年齢人口の減少率を食い止めるため、これまで本市が行ってきた子育て支援施策や移住定住施策のほか、都市部の住民が継続的に多様な形で関わる関係人口づくりに結びつく施策、転入増加・転出抑制に資する施策でございます。

 具体的には、子育て支援として、新たに妊婦の歯科検診を行うことで口腔衛生の啓発を図り、子どものむし歯予防につなげる施策を行うほか、令和2年10月より8月以降生まれの乳児を対象に定期接種化されますロタウイルスワクチン接種費用につきまして、令和2年4月から7月生まれの乳児まで市が独自に拡大して助成を行います。

 次に、移住定住や関係人口創出施策として、Uターン促進や鳥羽への思いを地域づくりに活かす仕組みとしての関係人口創りを構築する事業や伊勢志摩地域の市町と共同で情報発信を行い、移住を促進する取組みを実施いたします。また、東京下北沢にあります情報発信拠点を活用して本市の海藻が持つ多様な魅力を発信していくことで、特に料理研究家を始めとした意識の高いプロユーザーを対象に関係人口の増加につなげていく事業を展開してまいります。 二点目は、地域経済循環や事業継承問題等、持続可能な市内産業育成に寄与する施策でございます。

 具体的には、地域経済循環施策として、買物弱者支援のため市内企業の協力を得て移動販売車を本格展開する事業を行うほか、宿泊施設や飲食店などの事業所から排出される生ごみを新たに建設予定のバイオマス発電施設で処理する市内事業者に対して補助することとしております。また、漁業と観光の連携促進事業におきまして、新たに海洋資源モニタリング調査を実施してまいります。

 次に、事業継承問題施策として、経営指導員等の指導のもと事業継承に係る計画を策定し、立案された取り組みに対して補助金を支出する新たな取り組みを推進してまいります。 三点目は、これまで実施してきた地域共生社会の実現やとばびと活躍プロジェクト、海藻文化革命、海女文化を活用した地域活性化プロジェクト、中央公園リノベーションの質を高め、充実することでより地方創生を加速するための施策でございます。

 具体的には、地域共生社会の実現として、今年度同様講演会やまちトークを継続するほか、海藻文化革命として、今年度完成いたします水産研究所において政策観光に取り組んでまいります。

 また、中央公園リノベーションとして、市民体育館増築工事、中央公園園路整備工事、中央公園駐車場・広場改修工事を行うほか、文化芸術施設としての備品購入を予定しております。

 その他、国連の持続可能な開発目標(SDGs)であります「海の豊かさを守ろう」に資する取り組みといたしまして、水産研究所を拠点とした児童生徒への海洋教育に取り組んでまいります。 四点目は、ソサイティ5.0の実現に向け、シェアリングやスマート化により地域課題を解決する施策やAI・ICT・クラウドを活用した次世代型行政サービスの実現に向けた取り組みでございます。

 具体的には、地域課題を解決する施策として、県立鳥羽高等学校の授業である鳥羽学におきまして、今年度に引き続きICT活用について関連企業等からアドバイスを受けるなど、実践的な地域学習を支援してまいります。

 次に、次世代型行政サービスの実現に向けた取り組みとして、来年度から2カ年で工事を行う同報系防災行政無線のデジタル化に伴う機能により、SNSや民間防災アプリ等への情報伝達を早めていくほか、大手ICT企業が開発しましたQRコード決済アプリを市税の納付に対応させることで、これまで以上に納税しやすい環境を構築してまいります。

 その他、予算化はしておりませんが、引き続き鳥羽商船高等専門学校との地域連携や民間企業との事業連携によりソサイティ5.0の実現を積極的に進めてまいります。 五点目は、法定外税の導入検討や資産の貸付、売却、活用のための調査研究による新たな自主財源確保のほか、地域の「稼ぐ力」や「地域価値」の向上を図る”稼げるまちづくり”を推進する施策でございます。

 具体的には、新たな自主財源確保施策として、先ほどご説明しました買物弱者支援の移動販売車におきまして車両にスポンサー広告枠を設置して収入を図る取り組みを導入いたします。

 次に、稼げるまちづくりとして、ふるさと納税寄附金受付のポータルサイトを増やしました結果、1月以降も順調な伸びを示していますことから、引き続き自主財源の獲得に向けて委託先である観光協会と研究を続けてまいります。

 その他、今年度の継続事業として、海藻等の食材を発酵料理のテーマとして研究家との商品開発やプロモーション活動を行う取り組みや鳥羽うみアートプロジェクトによる芸術を活かした観光振興を促進することで地域価値の向上を図ってまいります。 以上、令和2年度に取り組む重点施策の大要についてご説明いたしましたが、重点施策以外の主な事業といたしまして、ハード事業では、鳥羽展望台の老朽化したトイレの改修工事を行うほか、菅島一般廃棄物最終処分場終了整備工事を行ってまいります。

 次に、ソフト事業につきましては、虐待対応をはじめ、すべての子ども・家庭の相談を受ける「子ども家庭総合支援拠点」の整備として、子ども家庭支援員を新たに配置するほか、知事との一対一対談でも取り上げました介護保険サービス事業者への離島船賃助成を2分の1から4分の3へ拡充いたします。また、学校統合計画見直しのため、学校通学区審議会を開催する経費を計上したほか、外国語によるコミュニケーション能力の向上や国際感覚の育成を図ることを目的として外国語教育の指導助手を追加いたします。

新年度予算の概要

 それでは、令和2年度当初予算の概要につきまして申し上げます。

 重点施策を中心に編成しました令和2年度の歳入歳出予算は、一般会計が124億2,600万円で、前年度より10億3,900万円、9.1%の増となります。また、一般会計、特別会計及び企業会計で総額216億6,147万円となり、前年度より12億7,677万5千円、6.3%の増となります。

(条例議案説明省略)

 

この記事に関するお問い合わせ先

総務課 秘書係
〒517-0011 三重県鳥羽市鳥羽三丁目1番1号
電話番号:0599-25-1105
ファックス:0599-25-1233

メールフォームによるお問い合わせ