令和6年度 施政方針

更新日:2024年04月03日

令和6年2月28日 鳥羽市議会会議において

はじめに

令和6年は、干支で言うと甲辰の年となります。

「甲」は物事の始まりという意味があり、「辰」は植物が勢いよく成長する意味を持つことから、新しいことに挑戦して成功したり、これまで努力してきたことが形になるなど、一般的には縁起の良い年になると言われています。

実際60年前の甲辰の年には、東京オリンピックの開催や東海道新幹線の開業などの国家的な大事業が成し遂げられた年であり、当時、子どもであった私もその時代の情熱や社会全体が将来に対する期待感に溢れていたことを憶えています。

 

令和6年度の鳥羽市についても、これまで取り組んできた地域 共生社会の実現やコンパクトプラスネットワークなどの成果が表れ、甲辰の勢いにふさわしい年となるよう引き続き、努めてまいりますので、議員の皆様方におかれましては、ご理解・ご協力の程、よろしくお願いいたします。

先を見据えたまちづくと地域共生社会の実現

さて、私が市長に就任してから7年が経ち、本市の近況を思い返すと、これまでコロナに振り回されてきた状況から、ようやく 社会が落ち着き、まちや人にも明るさが戻ってきたと感じている のは私だけではないと思います。

本市は漁業と観光が主な産業であり、万葉集などの三十一文字に歌われる美しい風景や豊かな海の恵みなど、多種多彩な魅力や先人たちの努力などが相まって、鳥羽のまちは発展してきました。

 

コロナ禍では、観光地であるが故の不安や心配もありましたが、市民や事業所の皆様のご尽力のほか、取り組んできた各事業が功を奏し、新しいフェーズに移行した現在でも、まちの玄関口である 鳥羽駅周辺エリアなどでは、観光などを楽しみに訪れていただいた大勢の方々の姿を見かけることが出来ました。

これからも引き続き、大切な人やご自身を守るため、一人ひとりが基本的な感染対策等を心がけていただくようお願いするとともに、より一層、人やモノの流れが活気づき、まちの明るい話題が増えることを期待するほか、これから20年・30年先を見据えたまちづくりを進めて行かなければならないと感じたところでございます。

一方、昨今の社会情勢に目を向けると不安定な国際情勢や地球が沸騰すると言われるような気候変動などの影響により、食料品やエネルギー価格などの物価高騰や海の環境変化などに加え、2040年問題として挙げられる人口構造の変化等による地域行事や、産業などの担い手不足がますます深刻化している現状を皆さんも感じられていると思います。

 

私としましても、このような課題に対処すべく、これまで地方創生臨時交付金等を活用し、市民生活の安定や地域経済の下支えを行ってきたほか、他市町に先駆けて「稼ぐ」、「つながる」、「最適化」といった3つのキーワードを軸とした地域共生社会の実現を目指して邁進してまいりました。人口減少などのマイナス面だけを捉えてわが身を嘆き、手をこまねいているのではなく、今、私たちが出来る事に取り組み、これからも持続可能なまちとして、次世代を担う子どもたちに未来の鳥羽市を引き継いでもらえるよう努めてきたところでございます。

地域共生社会の実現は、一朝一夕にできるものではありませんが、これまで行ってきた事業の歩みを止めぬよう、これからも皆さんのご理解やご協力のもと、職員と一緒に汗をかきながら、様々な取組や努力を続けていきたいと考えております。

新年度予算の概要『一つ目のキーワードは「まちづくり」』

このような状況を踏まえまして、今回、提出いたしました当初予算案については、大きく2つのキーワードに沿って、説明させていただきます。

まず、一つ目は【まちづくり】というキーワードです。

【まちづくり】

新年のあいさつとして、広報とばにも掲載させていただきましたが、地域の秘められたポテンシャルを活かすため、まちの玄関口である鳥羽駅周辺エリアの実態調査や立地適正化計画の策定などにかかる費用を計上させていただきました。

まちの機能やデザインを再整理することで、「まちづくり再生元年」としての一歩を踏み出し、皆さんに新しいまちづくりのビジョンを出来るだけ早くお示しできるように努めていきたいと考えております。

次に「コンパクトプラスネットワークのまちづくり」として、まちの機能の集約と移動手段の確保を進めるべく、継続して医療とモビリティ、ICTを掛け合わせた医療MaaSに取り組んでまいります。また、現在建造中の定期船の新船就航に合わせて、バス乗り場なども整備することで、より快適で利便性の高い公共交通を目指すとともに、経営の安定化に向けた利用促進などにも取り組んでまいります。

続いて、総合計画の将来都市像である「誰もがキラめく鳥羽 海の恵みがつなぐ鳥羽」にもあるように、本市は海との関わりが非常に深いまちでもあります。海の恵みに感謝し、豊かな漁場や海女文化などの特色ある地域資源を継承していけるよう、これまで漁業者応援事業や海女文化継承啓発事業などに取り組んでまいりました。

 

本年度は、これらに加え、これからも「海を守り・育て・つなぐ・まちづくり」となるように地域と一緒になって、食害対策の実証実験などに取り組んでいきたいと考えております。そのほか、観光分野では入湯税を原資とする観光振興基金を活用し、鉱泉源保護や観光振興などに取り組むほか、戦略的な観光誘客として、国際的な滞在拠点を目指し、インバウンド需要の取り込みや受け入れ態勢の強化などにも力を入れてまいります。また、これからもより一層、市民や観光客の皆さんに居心地よく、楽しんでもらえるような「観光地のまちづくり」を進めて行くため、先進地の事例なども参考に関係者の皆様と一緒になって丁寧かつ前向きな宿泊税の検討を行い、議論を深めていきたいと考えております。

続いては、「防災・減災のまちづくり」についてです。本年1月1日に発生した能登半島地震では、あまりにも甚大な被害状況等が連日、報道されてまいりました。海女サミットなどの交流を通じて、本市とも縁がある地域だけに、被災された方々のお気持ちやご苦労を思うと、本当に身につまされる思いでございます。改めて、我々もこれら大災害の教訓を活かした「防災・減災のまちづくり」を進めて行かなければならないと自分自身に問い直した次第でございます。

このようなことから、これまで行ってきた津波避難路整備や計画的な食料品や衛生用品などの入れ替えなどのほか、現場に職員を派遣して得た知見を活かして、必要な防災資機材の購入なども進めてまいります。そのほかにも、津波避難場所である旧長岡中学校屋上への避難用外階段の設置、消防庁舎に訓練塔を建設し、消防職員等の技能向上を図ることに加え、大雨などにも備えて、川底の土砂などを取り除く浚渫工事や、引き続き、大明地区の雨水管理総合計画の計画的な進捗を図ることで、「防災・減災のまちづくり」に取り組んでまいります。

新年度予算の概要『二つ目のキーワードは「担い手」』

次に2つ目のキーワードは【担い手】という言葉です。

【担い手】

人生百年時代と言われる中、我々のライフスタイルや価値観等も多種多様となり、私たちが思っている以上の早さで社会は変化をしています。

これから社会との関りを深め、様々な経験を重ねて未来に羽ばたく「次世代の担い手」である子どもたちには、ふるさとである鳥羽への愛着や豊かな人生の一助となるよう海洋教育や英語教育を充実させていくとともに、今回、新たにパラオ共和国との交流事業にも取り組むことといたしました。実際に現地へ赴き、様々な体験を通して、子どもたちには、海洋環境への興味や知識などを高めてもらえればと考えております。

また、子どもの健やかな成長や保護者の育児相談などに取り組むため、これまでの伴走型相談支援に加え、新たに乳幼児の1か月児健診を実施するほか、小中学校などの入学時期に合わせて、子育て世帯の経済的な負担を軽減するため、新入生等応援金を引き続き交付し、子どもや保護者への支援を充実していきたいと考えております。

 

次に、地域共生社会の実現を目指していく中でもよく聞かれる地域に若い人がいないといった「地域の担い手」に関しては、住民がまちトークで話し合った地域課題の解決に向けた支援として、地域力アップ応援金を継続して支給するほか、地域おこし協力隊や集落支援員による地域活性化、若年層の生活支援として結婚新生活応援金などによる支援を、これからも継続して取り組んでまいります。

次いで、市内事業所等で聞かれる「働く担い手」の不足については、これまでとばびと活躍プロジェクトなどで「稼ぐ」をテーマに様々な取組を進めてまいりましたが、今回新たに未来の働き手となる学生のインターンシップ等を促進するため、インターンシップ等への参加時にかかる交通費の一部を支援したり、今、働いている人の離職防止や長期就労に向けたセミナーの開催などにも取り組んでまいります。

このほか、2つのキーワード以外にも、市制施行70周年を記念した式典やスポーツ・文化芸術などの事業を実施するほか、AIによる議事録作成支援や庁内情報システム端末の整備により、業務の効率化や職員の負担を軽減し、これからも持続可能な行政運営を図ってまいります。

 

以上、新規拡充事業等を中心にご説明申し上げてまいりました 令和6年度当初予算案につきましては、一般会計の予算規模で 126億円となり、この一般会計に4つの特別会計予算の総額72億5,200万円と2つの企業会計予算20億7,271万8千円を加えた令和6年度の当初予算総額は、219億2,471万8千円となっております。

(条例議案説明省略)

 

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