乳児(約12ヶ月まで)の救命処置の流れと手順
(1)乳児の救命処置の流れ(心肺蘇生とAEDの使用)
(2)乳児に対する心肺蘇生法の手順
1.反応を確認する
2.助けを求める
(注意)協力者が誰もいない場合には、次の手順に移る前に、まず自分で119番通報してください。また、すぐ近くにAEDがあることが分かっている場合にはAEDを取りに行ってください。
119番通報時の注意点
慌てると、番地を間違えやすいものです。電話口には世帯主、電話番号、住所、目標物等のメモを子どもでも読める様な形で置いておきます。また、救急車を早く出場させるためには、通信員の質問に答えるようにします。
一刻も早い通報、要領のよい電話は人を助けるうえで重要な事です。
3.呼吸の確認
胸や腹部の上がり下がりを見て普段どおりの呼吸をしているかどうか調べます。
はっきり解らない場合は呼吸がないと判断して下さい。
心停止の直後には、しゃくりあげるような、途切れ途切れの呼吸が観られることがあります。
この呼吸を『死線期呼吸(あえぎ呼吸)』といい、普段どおりの呼吸ではありません。
4.胸骨圧迫
胸の真ん中より少し足側に指2本をおき、胸骨圧迫を行います。
圧迫のテンポは、1分間に少なくとも100回の速いテンポで、30回連続して圧迫します。
圧迫の強さ(深さ)は、胸の厚みの約1/3を目安とし、強く、速く、絶え間なく圧迫し続けます。
乳児だからといって弱く圧迫しては効果が得られません。
5.人工呼吸(口対口鼻人工呼吸)
あご先の硬い骨の上を人差し指で持ち上げます。(頭部後屈あご先挙上法)
あごの奥の柔らかいところは押さないでください。また、力いっぱい持ち上げますと、逆に空気の通り道(気道)は狭くなります。
吹き込むとき、胸が軽く持ち上がるかどうか確認しましょう。
気道確保した状態で、口と鼻を同時に覆って、吹き込みます。最初は2回(約1秒かけて)吹き込みます。
(口対口鼻人工呼吸)
胸骨圧迫よりも早く人工呼吸を行えるのであれば、従来と同じように人工呼吸から心肺蘇生を行っても構いません。
6.心肺蘇生(胸骨圧迫と人工呼吸)を継続
胸骨圧迫を30回連続して行った後に、人工呼吸を2回行う組み合わせを絶え間なく続けます。
7.心肺蘇生の継続、119通報(1人の場合)
1人の場合は、119番通報と、AEDがすぐに手配できればAEDを手配してから、胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を繰り返し行います。
心肺蘇生が解らない、知らない場合は通信員の指示に従って下さい。
(3)AEDの使用手順
乳児にもAEDを使用できます。
心肺蘇生を行っている途中でAEDが届いたら、すぐにAEDを使う準備を始めます。
AEDは電源が入ると音声メッセージと点滅ランプで、あなたが実施するべきことを指示してくれます。
落ち着いて、それに従ってください。
8.AEDの到着と準備
- AEDを傷病者の近くに置き、電源を入れる。
- ケースから本体を取り出します。
- AEDのふたを開け、電源ボタンを押します。ふたを開けると自動的に電源が入る機種もあります。
- 電源を入れたら、以降は音声メッセージとランプに従って操作します
- 電極パッドを貼る
- 成人用と小児用の2種類の電極パッドが入っている場合には、小児用電極パッドを使用します。傷病者の衣服を取り除き、胸をはだけます。
- 電極パッドの袋を開封し、電極パッドをシールからはがし、粘着面を傷病者の前胸部と背中にしっかり貼ります。
- 機種によっては電極パッドのケーブルをAED本体の差込口(点滅している)に入れるものがあります。
貼り付ける位置は電極パッドに絵で表示されています。
電極パッドは、前胸部(胸の真ん中)と背中に心臓を挟み込むようにして貼り付けます。
電極パッドは、肌との間にすき間を作らないよう、しっかりと貼り付けます。
成人と小児用の2種類のパッドが入っている場合がありますが成人(約6歳以上)の傷病者に小児用の電極パッドを使用してはいけません。
(注意)小児用は未就学児に対して使用します。
9.心電図の解析
電極パッドを貼り付けると「体に触れないでください」などと音声メッセージが流れ、自動的に心電図の解析が始まります。
このとき、「みなさん、離れて!!」と注意を促し、誰も傷病者に触れていないことを確認します。
一部の機種には、心電図の解析を始めるために、音声メッセージに従って解析ボタンを押すことが必要なものがあります。
10.電気ショック
AEDが電気ショックを加える必要があると判断すると「ショックが必要です」などの音声メッセージが流れ、自動的に充電が始まります。
充電が完了すると、「ショックボタンを押してください」などの音声メッセージ出て、ショックボタンが点灯し、充電完了の連続音がでます。
充電が完了したら、「ショックします。みんな離れて!!」と注意を促し、誰も傷病者に触れていないことを確認し、ショックボタンを押します。
ショックボタンを押す際は、必ず自分が傷病者から離れ、さらに誰も傷病者に触れていないことを確認します。
電気ショックが加わると、傷病者の腕や全身の筋肉がビクッと動きます。
11.心肺蘇生を再開
電気ショックが完了すると、「ただちに胸骨圧迫を開始してください」などの音声メッセージが流れますので、これに従って、ただちに胸骨圧迫を再開します。
胸骨圧迫30回、人工呼吸2回の組み合わせを続けます。
12.AEDの手順と心肺蘇生を再開
心肺蘇生を再開して2分(胸骨圧迫30回と人工呼吸2回の組み合わせを5サイクルほど)経ったら、AEDは自動的に心電図の解析を再び行います。音声メッセージに従って傷病者から手を離し、周りの人も傷病者から離れます。
以後は、<9.心電図の解析、10.電気ショック、11.心肺蘇生の再開>の手順を、約2分間おきにくりかえします。
心肺蘇生を中止する場合…
- 傷病者が目を開けたり、普段どおりの息をし始めたとき。
- 救急隊に引き継いだとき
ただし、AEDの電極パッドを装着した場合は、はがさず、付けたままにしておいてください。
かけがえのない赤ちゃんを助けるために!
心肺蘇生を覚えて下さい。
この記事に関するお問い合わせ先
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更新日:2022年03月31日