地籍調査について

更新日:2023年09月21日

土地に関する記録の多くは、明治時代の地租改正によって作られた地図(公図)をもとにしたもので、土地の境界が不明確であったり測量も不正確なため、土地の実態を正確に把握することができません。

このため、市では、昭和62年度から国土調査法に基づく地籍調査を実施し、土地の実態把握に努めています。

令和5年3月現在、市域全体面積107キロ平方メートルのうち38.56キロ平方メートル、市域の36.03%の一筆地調査を終えています。全域を完了するには、なお約50年以上の年月が必要となります。

現在、岩倉地区を実施しており、今後は国土調査第7次10ヵ年計画に基づき順次調査を行なっていきます。調査実施地区の地権者の方には、ご苦労をおかけしますが、ご協力をお願いします。

地籍調査について

地籍とは?

人に戸籍があるように、土地にも「地籍」という戸籍があります。「地籍」とは、一筆ごとの土地に関する記録のことで、登記所の土地登記簿に所有者、地番、地目、地積などが記録されており、その地図(公図)が備え付けられています。地籍が登記所の登記簿や公図に記載されて初めてその土地に関する様々な権利が保護されることになります。このように土地登記簿や公図はとても大切な存在です。

地籍調査の必要性

地籍調査を実施していない地域は、必ずしも土地の実態を正確に反映した登記内容となっていないため、土地に関する様々なトラブルを発生させています。これは、現在の公図が明治初期に作られた地図をもとにしているため、正確性に乏しいことが原因です。

明治政府は財政基盤をしっかりさせるため地租改正を行い、江戸時代から米などによる貢税(年貢)から土地に対する税金(地租)に変えました。このため、明治政府は土地の面積、所有者を確定しなければならず、住民に自らの手で測量をさせました。当時の測量方法は、田畑や宅地等には十字法や三斜法と呼ばれる測量方法が、山林や原野には目測や歩測が用いられたようで、当時測量する人は専門家でもなく、まして現在のような精密機械もなく作られた地図であり、現代の測量技術から見れば正確性は極めて乏しいにもかかわらず、今も使用中の公図(字切図)や土地台帳の基となっています。

このような状況から、地籍調査によって改めて調査、測量し、正確な記録を残す必要があります。

地籍調査は、最新の測量技術を使った制度の高い「地籍図」と、現状にあった正確な「地籍簿」によって、公図や土地登記簿を修正していく「土地に関する戸籍の調査」ともいえる事業です。

こんなことに役立ちます

公共事業の円滑化

新たな道路などを整備するときには、土地の事前調査や測量に多大な労力や費用を費やす場合があります。しかし、地籍調査が行なわれていれば、土地の実態が明らかになっているため、スムースに事業が進みます。

災害の復旧

地震、土砂崩れ、水害などの災害で、自分の土地の境界が分からなくなってしまった場合でも、地籍調査が行なわれていれば、個々の土地が地球上の座標地で表示されているため、元の位置を容易に確認することができます。

境界トラブルの未然防止

土地の境界が不明確であると境界紛争などさまざまなトラブルが発生しがちです。地籍調査の実施は、このようなトラブルを未然に防ぐことになります。

土地取引の円滑化

正確な土地の状況が登記簿に反映され、登記制度の信頼性が向上するとともに安心して土地取引ができるため、経済活動全体の円滑化・活性化につながります。

以上のように、公的機関による地域の整備から個人の土地取引まで、土地に関する行為すべての基礎データとなるものです。

調査にかかる費用について

地籍調査事業の費用は、原則的として国が50%、県が25%、市が25%を負担し、個人の負担はありません。ただし、一筆地調査の立会いや閲覧のための旅費などの費用、立会いに伴う代理人の選任(土地家屋調査士等)の費用及び交通費等、境界刈り込み依頼時の費用(業者の依頼、草刈機等の燃料、備品)等は個人負担となります。また、市では、境界杭も用意します。個人には、準備段階としての山林などの境界の刈り込みと、一筆地調査での現地立会いをお願いしています。

なお、地籍調査時に境界(筆界)が決まらず筆界未定となった場合、登記完了後にこの状態を解消するためには、未定となっている境界の決定、土地の測量などが必要になり、これらの費用につきましては、該当者個人の負担となります。くれぐれも、筆界未定とならぬよう、皆様のご協力をお願いします。 

調査に関するお願い

  • 立会日はもとより、伐採、事前・事後調査や測量のために、市役所・測量業者等が皆様の土地に立ち入らせていただきますが、主旨をご理解いただき了承及びご協力をお願いします。
  • 皆様の土地や道路に、地籍図の基礎となる測量基準点「プラスチック杭青色やコンクリート用鋲」を埋設させていただいたり、雑木や雑草の草刈を行う必要がありますが、主旨をご理解いただき了承及びご協力をお願いします。
  • 現在の「公図」が百年以上使われてきたように、地籍調査の成果は、今後永久的に使われることになります。皆様の大切な財産を守り、安心して子孫に残すことができますよう、調査対象となった土地所有者の方は、《一筆地境界立会調査》《成果の閲覧》には必ず参加してください。

その他よくある質問等

質問:どうして地籍調査をするのですか。

回答:鳥羽市では、昭和62年度から国土調査法に基づき、地籍の明確化のため地籍調査を実施しております。現在、法務局に保管されている地図(公図)は、明治初期に作成されたもので、精度が悪く、境界紛争の原因の一つとなっています。また、公共事業の用地買収では、土地所有者すらなかなか確定できず、境界を調査するために年月を費やし、事業が遅れ、余計な出費がかかることになります。地籍調査では、土地所有者に境界立会いをお願いし、境界杭を打ち、測量します。この測量は、境界杭の位置を地球上のどこにあるかミリメートル単位で実施するもので、もしも、災害などで杭が亡失しても復元が可能であるため、普段、現地に来て管理することができない遠方の土地所有者が財産管理をするうえでも、非常にメリットのある事業です。今回の地籍調査で土地所有者の方に基本的に実施していただくことは、下記記載の5つをお願いしています。また、測量、成果の法務局送付等の事務は、すべて鳥羽市が実施します。地籍調査の成果が法務局に送付されると、登記簿は、地積・地目等が書替えられ、調査でできた新しい地図は、古い地図と入れ替えられます。地籍調査は、このように個人の財産を現在の状況に正しく書替える非常に大切な事業です。

​​​​​​質問:土地所有者は何をしたらいいのですか。

回答:以下への協力及び出席が必要です。時期等については事前に通知等でご連絡いたします。

  1. 地元説明会への参加
  2. 山林、田畑(主に山林化している田、畑)で、市有地と接する箇所の境界刈り込みに伴う事前立会い
  3. 境界の必要箇所の刈り込み
  4. 境界確認の立会い
  5. 閲覧(地籍調査の結果の確認)

質問:地籍調査の地元説明会の案内が届きましたが、どのようにしたらよいのでしょうか。

回答:一筆地調査(境界確認の実施)対象地区の土地所有者の皆様に案内を差し上げております。地籍調査事業の概要と今後の予定の説明を行いますので、是非ご参加ください。

質問:地籍調査の境界確認の立会い(一筆地調査)の案内が届きましたが、立会いには必ず行かなければならないのですか。また、遠方なので現地まで行くことができないのですが。

回答:境界確認の立会いは、大切な財産である自分の土地を管理するため、守るため、また、安心して子孫に残すために隣接地所有者と境界確認をする良い機会とご理解ください。当日欠席になりますと、境界相手側の隣接者に迷惑となりますので、必ず指定された立会日に立会いをお願いします。また、境界立会いには、土地所有者本人が出ていただくのが望ましいのですが、都合等で出席できない場合は、土地の境界に詳しい人に委任することができます。例えば、土地家屋調査士、司法書士、購入前の土地所有者、鳥羽市に近い親戚・知人等です。この場合、依頼者に委任状を持参させてください。(依頼費用は、個人負担となりますので、依頼先の方とご相談ください。)

質問:地籍調査で個人と個人の境界確定についても、市が決めてくれるのですか。

回答:地籍調査は、あくまでも隣接土地所有権者同士で決めた境界を確認し調査を行うもので、市役所が個人間の境界を決定することはできません。

質問:遠方に住んでいますが、現地立会いにおける交通費や立会い経費は出るのですか。

回答:地籍調査は、皆さんの財産である土地を明確にするために行われることから、交通費や立会い経費を支給する制度はなく個人負担となりますので、ご理解ください。

質問:地籍調査の境界確認の立会いの日はどうしても都合がつかず、立会いできません。どうすればよいでしょうか。

回答:代理の方にお願いをして下さい。その際、委任状に必要事項を記入し現地立会い時に代理の方から提出していただくことになります。また、この場合には、代理の方の認印もご持参いただくことになります。(注意)ご家族の代理でも委任状が必要です。

質問:地籍調査の境界確認の立会いの日にはどうしても都合がつかず、代理人を立てる者もおりません。どうすればよいでしょうか。

回答:そのような場合には、必ず事前にご連絡ください。日程変更を行うか、場合によっては、立会い当日隣接者の方と仮杭を設置し、欠席された方に後日仮杭をご確認いただき、了解いただければ、そのまま境界杭となります。なお、了解が得られない場合は、隣接者の方と再び立会いをお願いすることとなります。(注意)隣接者の方にご迷惑をおかけすることになりますので、ご都合のつかないときは、必ずご連絡ください。連絡は、建設課管理係(電話番号:0599-25-1123)へお願いします。

質問:土地境界を刈込む必要はありますか。

回答:境界杭を確認し、測量するためには障害物となる草、樹木は刈込む必要があります。これは、土地所有者双方が境界を立ち会うときや境界杭を打ち込むときにも障害になりますので、土地所有者双方で刈込みをお願いします。刈込みは、両手を広げた程度の幅で、境界杭から次の境界杭を見通せるようにします。地籍調査区域の区域界・字界や市有地境界、里道、水路は市役所で刈込みをします。山林の多くは、雑木やシダ類が生い茂っていて、境界の位置確定ができないところもありますので、その場合は、隣接地土地所有者の方と必ず立会い日までに刈込みを済ましておいてください。なお、土地所有者双方ともに刈込みができない場合は、業者等に依頼してください。(境界刈り込み依頼時の費用(業者の依頼、草刈機等の燃料、備品)現地までの交通費等の費用は個人負担となります。)

質問:境界杭は個人で用意しなければならないのですか。

回答:一般的な45×45×60センチメートルのプラスチック杭は鳥羽市で準備します。また、道路・コンクリート等用の境界鋲も鳥羽市で準備します。これら以外の特別な境界標を埋設する場合は、土地所有者の負担で準備をお願いします。

質問:立会いに何を持参したらよいのですか。

回答:印鑑(立会いの署名、分筆・合筆などの承諾に必要です。)境界に関係する図面などの資料、土地の状況に応じた服装(帽子、長袖の服、長ズボン、手袋、長靴等)雨具、水分等

質問:閲覧(地籍調査の結果の確認)の案内が届きましたが、どのようにしたらよいのでしょうか。

回答:閲覧は作成された地籍図と地籍簿案の結果の確認を行っていただくものですので、必ず参加してください。期間中(20日間)のご都合のいい日に指定場所に認印・委任状等(必要な方)をご持参の上お越し下さい。万一、結果に誤りがある場合には、必ず申し出てください。

質問:地籍調査期間中に土地の異動(相続等)を行いたいのですが、可能ですか。

回答:地籍調査期間中の土地の異動を禁止するものではありませんので、不動産登記法による手続きを行われても調査には差支えありません。ただし、地籍調査で作成した地籍簿の記載と登記簿の記載が一致しなくなりますので、境界立会い後、地籍調査の成果を登記所へ送付するまでの間に登記に変更がある場合は、必ずご連絡をお願いいたします。連絡は、建設課管理係(電話番号:0599-25-1123)へお願いします。

質問:私の土地はまだ祖父の名義になっているのですが、地籍調査事業で私の名義にできるのですか。

回答:できません。その他、以前、交換(又は売買)を行った未登記の土地の名義の書き換えなどは、地籍調査ではできません。地籍調査事業では、所有権移転登記【相続、交換、売買など】はできませんので、個々に手続きを行ってください。

質問:抵当権が設定された土地があるのですが、返済は終了しているので、抵当権の解除を地籍調査でできますか?

回答:できません。地籍調査事業では、抵当権の解除等、所有権以外の権利に関する登記はできませんので、個々に手続きを行ってください。(注)抵当権等、所有権以外の登記がある場合には、合筆(合併)を希望されてもできない場合があります。

質問:以前から土地の境界でもめています。地籍調査で解決してもらえますか。

回答:地籍調査は、土地の境界を確認し、法務局の土地登記簿や公図を現況に合わせて正確に更新するものです。地籍調査事業完了後は、土地トラブル防止に役立ちますが、現に紛争している問題は、関係する土地所有者の理解と協力がないと解決できません。(注)境界(筆界)が決まらないと筆界未定となります。

質問:地籍調査のときに打たれた杭が支障となっていますが、どうしたらいいですか。勝手に撤去してかまいませんか。

回答:地籍調査で打った杭は次のようなものがあります。

  1. 測量杭(測量基準杭)の場合…鳥羽市で管理する杭(プラスチック杭頭が青色)(金属鋲)です。境界復元などに使用する測量の基準となる大事なものですので、勝手に動かさないでください。どうしても動かさないといけない場合は、別途届出の手続きが必要ですので、移動、撤去をされる前に必ず連絡してください。
  2. 筆界杭(境界杭)の場合…土地の境に打たれた杭(プラスチック杭頭が赤色)(金属鋲)で、皆様にとって大切な杭です。どうしても支障がある場合は撤去されてもかまいませんが、地籍調査後の境界復元は個人負担となります。

質問:地籍調査のデータ(座標)を活用したいのですが、どうしたらいいですか?

回答:地籍調査が完了して登記されている地区の基準点及び画地(筆界点)データは市役所で管理していますのでお問い合わせください。

質問:土地を売却したいのですが、面積や境界をはっきりさせるため、地籍調査を実施してもらえないでしょうか。

回答:地籍調査は、市町毎に実施計画を立て、その計画に基づいて字などを単位とする調査地域を決定して行うことになっています。分筆や地積更正等を必要とする土地だけを対象にして、地籍調査を実施することはできません。

質問:私の住んでいる地域の地籍調査が始まるまでには、かなりの年数がかかるようです。境界を次の世代にわかるようにしておくために、何かいい方法はありませんか。

回答:民法223条に「土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で境界標識を設置することができる。」と定められています。隣接地所有者の承諾を得て、共同で境界標識(コンクリート杭、プラスチック杭等の永久杭)を設置し、写真や、図などでお互いにわかるように記録し大切に保存しておくのも一つの方法です。また、写真や図だけでは分かりにくい事もありますので、次の世代の方と実際に現地を歩いて確認しておく方がよいでしょう。他に、費用がかかりますが、土地の専門家、例えば土地家屋調査士に依頼する方法もあります。

質問:地籍調査が終了した地域に土地を持っていますが、境界杭がなくなり、隣地との境界がわからなくなってしまいました。境界杭を復元してもらえませんか。

回答:地籍調査が終了した土地について、市では境界の復元はしません。境界の座標値は、市で管理していますので、その成果を基に専門の業者(測量士、土地家屋調査士など)に復元を依頼してください。なお、その費用は個人負担となります。また、成果の交付については、手数料が必要です。

関連リンク

この記事に関するお問い合わせ先

建設課 管理係
〒517-0011 三重県鳥羽市鳥羽三丁目1番1号
電話番号:0599-25-1171
ファックス:0599-25-5241

メールフォームによるお問い合わせ