令和4年度 施政方針

更新日:2022年03月31日

令和4年3月1日 鳥羽市議会会議において

新型コロナウイルス感染症対策について

 丁度、1年前、この場で当初予算などの議案を説明させていただきましたが、依然、あの時と同じように新型コロナウイルスによる影響は、各地に爪痕を残し続けています。
 感染された皆様方には、心よりお見舞いを申し上げ、一日も早いご回復をお祈り申し上げるとともに、日夜、現場で働いている医療や福祉、物流、ライフラインなど日常生活に欠かすことのできない業務に携わっているエッセンシャルワーカーの皆様に改めて、感謝を申し上げる次第でございます。

 さて、全国に広まったオミクロン株による第六波では、これまでの感染状況と比べ、重症化率が低いと報道等で言われてきたものの、従来のものよりも感染力が強いことから、高齢者のみならず家庭内感染などで比較的若い世代にも感染が拡大している状況となっています。

 誰しもが感染対策に努めてはいるものの、いつ・どこで・誰が感染してもおかしくない状況です。
 今後も感染者数が急激に増加するような状況となり、緊急事態宣言等の強い措置によって、再び人流の抑制や経済活動の停滞などが起きてしまうと、これから期待されている社会経済活動の回復基調に水を差すこととなってしまいます。
 これまで新型コロナの影響に耐え忍んできた地域に更なる追い打ちが掛からないように、引き続き、政府の強力なリーダーシップに期待するとともに、私たちも協力できるところは率先して協力していき、みんなでこの国難に立ち向かっていきたいと思います。

 国にすべてを任せてしまうのではなく、例えば実際に本市でも地域の団体などが高齢者のワクチン接種の予約を手助けしてくれた事例のように、私たち一人ひとりの立場でも、住んでいる地域のコミュニティでも、ちょっとしたことから、お互いが特性を活かして協力・補完し合うことで、これからの地域やまちづくりが成り立っていくのではないでしょうか。
 鳥羽で暮らす人々のいきいきと活躍する姿が、未来の担い手である子どもたちにしっかりつながるように、これからも持続可能で、身の丈に合った地域共生社会のまちづくりを目指しておりますので、引き続き議員や市民の皆様のご理解とご協力をお願いする次第でございます。

 以上のことから、令和4年度については、まずは私たちにできることとして、3回目ワクチン接種の加速や各施設の感染予防対策などに力を入れつつ、近い将来に訪れるコロナ禍からの克服を視野に入れて、事業に取り組んでいきたいと考えております。

地域経済の活性化と地域共生社会の実現

 それでは少し視点を変えて、これからの経済情勢に目を移しますと、国は、これからの経済活動について、令和3年12月23日に閣議了解した「令和4年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」において、経済対策を迅速かつ着実に実施することなどにより、実質GDP成長率は3.2%程度、名目GDP成長率は3.6%程度として過去最高のGDPになると見込んでいます。
 しかし、一方で、引き続き、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れリスク、新型コロナウイルス感染症による内外経済への影響等を注視する必要があるとも述べられています。

 本市は、漁業や観光に携わる人々が多い地域であり、これまで新型コロナウイルスによる景気動向等の影響を多分に受けてまいりました。
 新型コロナウイルスの世界的な大流行から2年以上が経過し、ワクチンや治療薬の研究・開発が進んできた中で、近い将来、感染状況が徐々に落ち着いていけば、経済活動は国の見通しにあるように活性化していくこととなるでしょう。

 そういった状況から、これから全国の自治体は、来るべき日に備えて、アフターコロナを見据えた様々な取組を、これからもしのぎを削り合いながら進めていくことが予想されます。
 これらの取組が全国各地で行われていく中、渦中に埋没していかないように、本市の特色に磨きをかける取組を実施していく必要があるのではないでしょうか。

 気候が温暖で風光明媚な景観や地元の人々の温かいおもてなしなどは言うに及ばず、古来より伝承されてきた海女漁の技術や、真珠、トロさわら、牡蠣などといった豊かな海の恵みのほか、離島のように地理的に離れているが故に都会では味わえない趣を活かしたまちの魅力などを強みとして、マイクロツーリズムや国のGoToキャンペーン、また2025年の大阪万博等によるインバウンド回復も視野に入れて、地域経済の活性化を図っていきたいと考えております。

 また、地域経済の活性化と並行して、これまで喫緊の課題として取り組んできた少子高齢化等による人口構造の変化を見据えた対策や財政健全化など身の丈に合った行財政運営についても、これまで各課が連携して取り組んできたことを継続させるとともに、これからの子どもたちや孫たちの世代に未来ある鳥羽市を引き継いでいってもらうための取組を新たに展開していく時期に来ているのではないかと感じております。
 そのため、今回の当初予算には、各課から地域共生に関するアイデアを募り、新たな事業として予算計上させていただきました。
 これらの事業が、これからの地域共生社会に必ずや資するものと信じ、実施していきたいと考えておりますので、議員の皆様にもご理解・ご協力の程、よろしくお願いいたします。

新年度予算の概要

 それでは予算編成基本方針に掲げました重点施策における新規拡充施策を中心に当初予算の概要をご説明いたします。

 まず一つ目の重点施策は、「コロナ禍に対応した施策」でございます。
 新型コロナウイルスの感染拡大を防止し、市民の健康を守ることはもちろんのこと、市内経済の下支えや好循環を図る上でポストコロナを見据えた事業展開への支援等を行いたいとの考えから検討を進めてまいりました。
 感染予防については、前年度より行ってきた3回目のワクチン接種等について、希望する方がより早く接種できるように引き続き、医療従事者や関係者などのご協力を仰ぐとともに、これまで前例のないミッションに果敢に挑んでいるワクチンチームのメンバーを先頭に、職員全員が一丸となって取り組んでまいります。
 このほか、子どもたちや高齢者などが集まる保育所や小中学校、ひだまりなどといった施設における消毒や、接触機会を減らすための保育システム導入、必要に応じて放課後児童クラブの送迎を増車するなど、感染対策を一歩一歩、愚直に取り組んでまいります。
 また、医療資源が限られている離島での感染を予防するため、定期船の消毒やコーティング、またオンライン診療などにも継続して力を注いでまいります。

 経済対策については、国の補正予算が令和3年12月20日に成立したことを受けて、本市にも地方創生臨時交付金が約1億5,800万円交付されることとなりました。
 このことを受けて、当初予定していた経済対策については、みなとまつりの補助金増額や地域資源を活用した商品開発・販路拡大に係る補助金など、一部の事業を除き、再度各課に、これからの感染状況やフェーズ等を鑑みながら、アイデアを練り直すよう指示いたしました。
 そのため、現在、関係先等と調整を行いながら内容を鋭意取りまとめており、今後の感染状況や国・県の対応などを見極めながら、随時、補正予算にて対応してまいりたいと考えておりますので、ご理解賜りますよう、よろしくお願いいたします。

 次に二つ目の重点施策としては、「地域共生社会の実現に向けた施策」でございます。
 これから必須となる地域共生社会の実現に向けたアイデアを今回、庁内から募り、検討した結果、10の事業を計上するに至りました。
 具体的には、市民などが地域課題の解決に向けて取り組む活動を財政的に支援する地域力アップ応援金、これから進んでいくデジタル化に向けてスマートフォンを活用した高齢者デジタル化推進事業、持続可能なまちづくりがこれからも続くように、鳥羽うみ文化を活かしたSDGs推進事業や、空き家をリノベーションして移住・定住の新たな支援となるように空き家活用促進事業などを予算化しています。
 このような新たな取組のほかにも、これまで取り組んできた地域おこし協力隊の増員。
 海のシリコンバレー構想の一環としてこれからの本市を担う小中学生に水産研究所や海の博物館等を活用した海洋教育。
 東京2020オリンピックのフェンシング競技で本市出身の山田選手が金メダルを獲得したことで受けたこの「エペジーーン」という感動を市民と共有し続けるため、新たにフェンシング大会を開催するための財政的な支援などにも取り組んでまいります。

 このほか、市民生活の安全・安心に資するため、高規格救急自動車と災害対応特殊ポンプ自動車の購入や、国が示した基準に準じて消防団員の報酬を大幅に増額することといたしました。
 また、近年増える台風・大雨などの雨水対策として雨水管理総合計画を策定し、浸水被害の軽減等に繋げるとともに、犯罪被害に見舞われた被害者等の経済的負担を軽減するため新たな支援制度の創設や定期航路の新造船建造に向けた取組などを進めてまいります。
 そのほかにも、これからのコンパクトプラスネットワークを進めていく一つの事例として、予定されている市内中学校の統廃合において中心となる鳥羽東中学校の大規模改修や通学路の改良工事のほか、これからの地域公共交通の在り方などについて、地域の皆さんと一緒に取り組んでまいります。

 以上、新規拡充事業等を中心にご説明申し上げてまいりました令和4年度当初予算案につきまして、一般会計の予算規模は116億1,000万円となり、この一般会計に五つの特別会計予算の総額70億2,050万円と企業会計予算17億4,500万円を加えた令和4年度の当初予算総額は、203億7,550万円となっております。

(条例議案説明省略)

 

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