鳥羽・志摩の海女漁の技術

更新日:2022年10月19日

指定年月日 平成29年3月3日

種別 無形民俗

所在地 三重県鳥羽市・志摩市

保持団体 鳥羽海女保存会・志摩海女保存会

概要 三重県鳥羽市及び志摩市に伝承される、女性たちによる素潜り漁の技術。当地 の海女漁は、 特に伊勢神宮との関係性も含め 、古来より継承されてきたと考えられ、現在 、その従事者数が全国で最も多い地域である (約 750 人)。 また、 『万葉集』や『延喜式』などに関係の記事があり、素潜りという比較的簡単な漁法であることから、古い形態をとどめた漁撈といえる。
その漁法としては、カチド、フナド、ノリアイの3種がある。カチドは海女が直接陸地から泳いでいって行うもの、フナドは夫婦などの男女対で船に乗り込み、漁をしている女性を男性が滑車などを使って引き上げるといった共同で行うもの、そして、ノリアイは1隻の船に船頭(男性)と複数の海女たちが乗り合わせ、目的とする漁場でそれぞれ単独で行うものである。漁獲物としては、アワビをはじめ、サザエ、トコブシ、イワガキ、イセエビ、ウニ、ナマコ、アラメ、ヒジキ、テングサなどがあり、ほぼ年間を通して漁が行われている。
当地では、漁獲物の大きさや1日の漁の回数や時間を設定するなど、採りすぎない意識を持っている。また、海女たちの 技術伝承においては 、とりわけコミュニケーションの場して海女小屋が果たす役割は大きく、ここで漁に関する知識や情報を得ていたといえる。セーマン、ドーマンといわれる当地特有の魔除けの印や「ツイヤ」と唱える呪( まじない)など 、周辺習俗もあわせてよく伝えられおり、我が国の海女漁を理解する上で重要といえる 。

 

 

鳥羽志摩の海女漁の技術