研究所散策

更新日:2024年11月11日

鳥羽市水産研究所(本所)

鉄骨造一部2階建(建設面積552.8平方メートル、延床面積729.06平方メートル)で、黒ノリ生産種苗、ワカメ生産種苗、アラメ・カジメ種苗生産をはじめ新規養殖品種の試験研究や海洋環境(藻場等)の調査など様々な研究を行っています。

研究所建物を海側から見た写真です。
研究所施設1階2階の間取り図です。

種苗室

養殖用黒のりやわかめの種苗生産、各種培養、飼育実験を行っています。

種苗室です。1.5トン水槽の中にノリの種苗がつるしてあります。
港の外からポンプで引っ張ってきた海水をろ過する装置です。砂を使ってろ過します。

【砂ろ過装置】

研究所で使用する海水は、漁港外の水深数メートルから引き込んだ海水を砂で充填したタンクを通してろ過しています。

FRPでできた水槽です。1.5トンの容量があり、全部で48個あります。光合成をする海藻を飼うため、内面を白く塗ってあります。

【FRP製水槽】

光合成をする藻類を培養することが多いため、光が反射できるように内側も白く塗装した1.5t水槽を48基設置しています。

業務用扇風機で、エアコンのない種苗室の夏の温度調節に使用しています。

【大型扇風機】

空調のない種苗室内の温度にさらされているので、水槽の水温が上がり過ぎないよう夏期は窓を開けています。さらに換気扇、扇風機、水打ちなどを行い、水温に気を配っています。

水槽の上部分と屋根には遮光シートが張り巡らされており、明るさを調節できます。

【遮光シート】

種苗室は天窓から太陽光を取り込むことができますが、そのままだと黒のり、わかめ種苗培養には明るすぎます。天気や種苗の発育段階に応じて遮光シートの種類や開け方で調光しています。

恒温室

黒のり、わかめ等の種苗の保存や培養実験を行うために年中同じ温度を保ち、温度や日長の設定を調節することができます。2基あり、大まかには2種類の条件設定をすることができます。

温度を一定に保つ培養室で、恒温室と呼びます。中では海藻の細胞を培養しています。
恒温培養室の中の写真です。光を調節できる棚がおいてあり、そこで細胞を培養しています。

研究実験室

海藻幼体や小型海藻の培養実験や生長観察などを行っています。

研究実験室です。顕微鏡と小型の培養庫がおいてあり、海藻種苗などの生長を観察します。
顕微鏡とモニターです。観察した種苗の様子をモニターに映すことで、漁業者や学生などと一緒に見ることができます。

【顕微鏡とモニター】

40倍から400倍まで拡大して観察できる光学顕微鏡があります。海藻の細胞や胞子、種苗などを観察します。モニターに映し出すことで、漁業者や見学者と同じものを見ながら話すことができます。

卓上培養庫です。2台あり、庫内は明るさと日照時間と温度を調節することができます。

【卓上培養庫】

15℃から30℃程度の温度環境を作ることができます。明るさや日照時間にも変化をつけることができるので、様々な時期を想定した培養実験ができます。

オートクレーブです。大型の圧力鍋のようなもので、培養に使用する海水を滅菌するために使っています。

【オートクレーブ】

海水を加圧加熱滅菌するために使っています。圧力鍋のようなものです。

作業室

種苗用資材や研究道具などを工作するための部屋です。

作業室です。種苗生産や研究培養などに使う資材を自分たちで工作するための部屋です。

会議研修室

会議や海洋教育の講義を行う際に使用します。

会議研修室です。50名ほどが座って講義を受けたり研修をしたりすることができます。

50名程度まで利用できる座席があります。

家庭用コンロです。研修室の一角に置いてあり、簡単な調理実験などを行うことができます。

コンロを使って、ところてん作り(年中)、塩蔵ワカメ作り体験(2月から3月)などが小規模ですが実施可能です。

資料室

藻類の学会誌や培養、養殖、食文化関係の書籍や長年にわたる各種水産試験のレポート、資料などがあります。見学者に紹介できるような書籍を置いてあります。

資料室です。本棚には海の生き物や環境、その測定方法、記録などと海藻の標本が収蔵してあります。
海藻の標本です。海藻はその性質上、紙にくっつくので、押し葉標本にして保管してあります。

調査必需品

研究所所有のボートです。第八かもめ丸といいます。漁場調査や種苗の海での管理のために使います。

【第八かもめ丸(船外機船)】

漁場を含む鳥羽海域での調査や研究所筏での作業、沿岸地域への訪問などに日々活躍しています。

潜水用機材です。スキューバダイビングで海藻の調査などを行います。

【潜水器材】

SCUBAや素潜りで水深2-3mから30m程度までの海藻の植生調査などを行います。

空中ドローンです。空から沿岸の様子、特に海藻の生えている場所の撮影などに使います。

【空中ドローン】

沿岸域を航行させ、上空から観察、記録することにより海藻群落の有無や大まかな面積などを求めることができます。

水中ドローンです。主に船上かで操作し、海底の海藻の様子などを撮影します。

【水中ドローン】

調査員による潜水を実施することなく、大まかな海底の状況を観察、記録することができます。

研究用筏

ロープで組んだ枠(25m×40m)を浮かべた浮き流し式筏です。ワカメ、アラメなどの種苗の海域培養、養殖試験を行うことができます。

菅島沖にある研究所の筏です。ロープで組んである浮き流し式の筏で、種苗などを吊り下げています。

ロープ製浮き流し式筏を菅島東岸に設置しています。

研究所筏に船をとめて、種苗の世話をしています。

海藻幼体が付いた糸(種苗)のメンテナンスを行っています。

坂手分所

令和元年(2019年)までは、この施設を中心に業務を行っていました。現在は分所として使用しています。

坂手島にある研究所の分所です。事務棟と種苗棟の二つの建物からなっています。

外観

坂手分所の種苗棟の中です。FRPでできた水槽が8個ほどあり、海藻種苗を育てることができます。

FRP水槽

坂手分所内にはコンクリート製水槽が24個据え付けてあり、海藻種苗を育てることができます。

コンクリート製水槽

坂手分所にも恒温培養室があります。現在は使用していません。

恒温培養室